野球を楽しんでいる方なら、キャッチボールや送球、ピッチングなど、「ボールを投げる」場面は何度もありますよね。
投球というと、どうしても「腕を速く振る」というイメージが強いかもしれません。
でも実際には、腕だけでボールを投げているわけではありません。
背中にある肩甲骨も、腕の動きに合わせてさまざまな方向へ動きながら、投球動作に関わっています。
肩甲骨は背中の左右にある骨で、腕と直接つながっているように見えますが、実際には肩関節や鎖骨、胸郭、背中などと関係しながら動いています。
普段、腕を上げたり後ろへ回したりするときにも、肩甲骨は小さく動いています。
ところが野球の投球では、普段よりも大きな腕の動きが必要になります。
例えばボールを投げる準備では、腕を後方へ引きながら体をひねります。
このとき肩甲骨も背中側で動き、腕を振るための準備をしています。
その後、体を前へ向けながら腕を前方へ振り出し、ボールをリリースします。
この一連の流れの中で、肩甲骨は止まったままではありません。
腕の動きに合わせて位置を変えながら、背中側で動きをつないでいます。
つまり、投球動作を見るときには「腕の振り」だけではなく、「背中や肩甲骨がどのように動いているか」という視点も大切なのです。
ここで少し面白いのが、肩甲骨は背骨のように関節で固定されている骨ではないということです。
肋骨の上を滑るように動きながら、腕の動きをサポートしています。
そのため、背中や胸まわりの動きが少ない状態では、肩甲骨も十分に動かしにくくなることがあります。
例えば普段からパソコンやスマートフォンを長時間使っている方は、背中が丸くなった姿勢になりやすいですよね。
このような姿勢で過ごす時間が長いと、肩甲骨を大きく動かす機会も少なくなります。
そこへ野球の練習で繰り返し投球を行うと、日常とはかなり違う大きな動きが必要になります。
さらに野球では、右投げなら右腕、左投げなら左腕というように、基本的に同じ側の腕を繰り返し使います。
キャッチボールなら何気なく行っている動作でも、練習を続ければ投球回数はどんどん増えていきます。
同じ方向へ体をひねり、同じ腕を振るという動作を繰り返すため、左右で肩や肩甲骨の動かし方に違いが生まれることもあります。
また、「もっと速いボールを投げたい」と思うと、腕を強く振ることに意識が集中しやすくなります。
しかし投球は、腕だけで力を生み出す動作ではありません。
足で地面を踏み、骨盤を動かし、体幹を回し、その動きが肩や腕へ伝わっていきます。
下半身から始まった動きが上半身へつながり、最後に腕が振られる。
そんな全身の連動によって、ひとつの投球動作ができています。
そのため、腕だけに意識を向けるよりも、「足元から体がどう動いているか」を感じてみることも大切です。

そして、意外と見落としやすいのが投げ終わった後です。
ボールを離した瞬間に動作が終わるわけではありません。
腕はそのまま前へ振り抜かれ、体も前方へ移動しながら動きを終えていきます。
このフォロースルーの場面でも、肩甲骨や背中は腕の動きに合わせて働いています。
投球は「構える→体をひねる→腕を振る→ボールを離す→振り切る」という一連の流れとして見ると、肩甲骨がどれだけ関わっているのかが分かりやすくなります。
普段の生活でも、ときどき肩甲骨を意識してみるとよいかもしれません。
両腕をゆっくり上げたとき、左右で動き方に違いはないか。
背中が丸くなったまま長時間過ごしていないか。
スマートフォンを見るとき、肩が前へ入り込んでいないか。
こうした何気ない姿勢も、日頃の体の使い方を知るヒントになります。
野球の投球は、腕の力だけで完成する動作ではありません。
肩甲骨、肩、背中、胸まわり、体幹、骨盤、脚まで、全身がバトンを渡すようにつながって動いています。
いつもの練習でも、「今日は腕の振りだけではなく、背中や肩甲骨も動いているかな?」と少し意識を変えてみると、自分の体の動きを新しい視点から感じられるかもしれません。
長く野球を楽しむためにも、ボールを投げるときの腕だけではなく、その土台となっている体全体の動きにも目を向けてみてくださいね。
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