「最近、ゆっくり休んでいますか?」
患者さんとお話をしていると、「休みの日も家のことがあって忙しいんです」「何もしないと落ち着かなくて」という声をよく耳にします。今は、毎日を一生懸命過ごしている方が本当に多いですね。
そんな現代の暮らしを見ていると、昔の人たちの知恵には学ぶことがたくさんあるように感じます。
その一つが「土用」です。
土用というと「土用の丑の日」や「うなぎ」を思い浮かべる方が多いかもしれません。でも本来の土用は、一年に四回ある季節の変わり目を指し、昔の人はこの期間を、次の季節へ向かうための準備期間として大切にしていました。
特に夏土用は、一年の中でも暑さが最も厳しい頃です。冷房も扇風機もなかった時代、暑さは今以上に体力を奪うものだったでしょう。
だからこそ、「この時期は無理をしない」という考え方が自然と暮らしの中にありました。
昔は、土用の期間には庭の手入れや家の増改築など、土を大きく動かす作業を控える風習がありました。「土公神(どこうしん)」という土の神様が土を守る期間という言い伝えもありますが、それだけではなく、暑さの厳しい時期に大仕事を避けるという生活の知恵でもあったのでしょう。
今のように「頑張ること」が当たり前ではなく、「休むこと」にも理由があったのです。
私はこの考え方がとても素敵だと思います。
現代は便利になり、一年中同じような生活ができるようになりました。暑くても冷房があり、夜でも明るく、仕事や家事も季節に関係なく続きます。
だからこそ、自分でも気付かないうちに無理を重ねてしまうことがあります。
「まだ頑張れる。」
「もう少しやってから休もう。」
そんな気持ちが積み重なり、自分をいたわる時間を後回しにしてしまう方も少なくありません。
昔の人は、季節を理由に暮らしのペースを少し落としていました。
「今日は土用だから。」
その一言で、無理をしない理由が生まれていたのです。

現代にも、この考え方を取り入れてみてもいいのではないでしょうか。
夏土用の期間だけは、いつもより少し早く寝てみる。忙しい日でも温かいお茶を飲む時間をつくる。家事の途中でひと息つく。予定を詰め込みすぎないようにする。
どれも特別なことではありません。
「夏土用だから今日は少しゆっくりしよう。」
そんな理由があるだけで、心も少し軽くなる気がします。
頑張ることはもちろん大切です。でも、休むことも同じくらい大切な時間です。
昔の人は、自然の移り変わりに合わせながら、自分たちの暮らしも少しずつ変えていました。その知恵は、忙しい毎日を送る私たちにとっても、今だからこそ必要なのかもしれません。
今年の夏土用は、「もっと頑張る」ではなく、「少し立ち止まる」ことを意識してみませんか。
季節が「少し休んでも大丈夫ですよ」と背中を押してくれていると思うと、肩の力も自然と抜けてくるものです。
昔から受け継がれてきた夏土用の知恵を、現代の暮らしにも取り入れながら、自分自身をいたわる時間を大切に過ごしていきたいですね。
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